BBYの観葉植物 Discussion Note

観葉植物の生育環境や、育てかたについて考えたことを載せるブログです。

植物にとって最適な光の量を推定しよう

 こんにちは。ここ最近ずーっと雨で、まいっちゃいますね。早く植物を外に出したいと思っている、BBYです。

 前回の記事で、植物に与える光の量はPPFDという値を使ったほうがいいということと、PPFD値の大体の計算方法を紹介しました。

 今回は、「植物にとって適切な光の量ってPPFD値でいうと、どのくらいなの?」ということをまとめていきたいと思います。

 

植物の種類によって適切な光の量は異なる

 これを言ったら元も子もないのですが、植物によって必要な光の量は異なります。

例えば、atriplex triangularis(ハマアカザ属の植物)は1600 μmol/m2・s の高PPFDで光合成効率が最大になりますし、asarum caudatum(野生のショウガ)は 160 μmol/m2・s の光で光合成効率が最大になります。

 このように、植物によって必要な光の量は異なるのです。でも、これじゃあ困りますよね。せめておおまかな強さだけでも知りたい。そこで歴代の研究者さん達が考えたのが、光—光合成曲線というグラフです。

 

 

光—光合成曲線で考える

 光—光合成曲線は、縦軸に取り込んだ二酸化炭素(CO2)量を、横軸に光の強さをとったグラフで、光の強さと光合成の効率を調べる上で欠かせない存在です。簡単に見方を紹介します。

 

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光合成曲線

グラフの青の部分・・・この光の量だと、植物はやがて死んじゃう

植物も生き物ですから、呼吸をします。植物にとって光合成とは、「自分でご飯を作り出すこと」のようなものです。光合成が足りない(=ご飯が足りない)状態だと植物はやがて死んでしまいます。縦軸の値がマイナスなのは、光合成によるCO2取り込みの量より、呼吸によるCO2放出量の方が多いからです。

 

グラフの黄色の点(=補償点といいます)・・・死なないけど、成長もしない

呼吸によって放出するCO2量と、光合成によって取り込むCO2量がちょうど釣り合っている状態です。この状態だと、植物は死なないけど、成長もしません。

 

グラフの緑の部分・・・いい感じになってきた

光が強くなるほど、光合成の量も増えていますね。いい感じです。

 

グラフのオレンジの部分・・・もうこれ以上いらないよ(光の強さが飽和した状態)

光が強くなっても、光合成によって取り込むCO2量はほとんど変わりません。かっこよく言うと光が飽和した状態です。

光—光合成曲線からわかることとは、つまり、

植物にとって最適な光の強さとは、飽和するギリギリの強さです。これを目指しましょう。逆に強すぎると、葉緑体がダメージを受けて、葉焼けしたりしちゃいます。

 そして、光—光合成曲線によって、植物には光が好きなものとそんなに光が必要ないものがいることがわかりました。それが陽性植物と陰性植物です。

陰性植物と陽性植物

 光—光合成曲線によってわかった陽性植物と陰性植物。人間に例えるなら、陽性植物は「お昼のお弁当は必ず2個食べ、夜はラーメン餃子ご飯特盛、アクティブ体育系」で、陰性植物は「1日に食べるのはきゅうり1本だけでも別にいい、控えめオタク系」です。(ちなみにBBYはお昼のお弁当は必ず2個食べ、夜はラーメン餃子ご飯特盛、控えめ体育系だと思ってます。笑 どうでもいいですね、ごめんなさい。)

  光—光合成曲線で表すと、こんな感じです。

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陽性植物と陰性植物の光合成曲線。

 わかりやすくするために、性質を表にまとめてみました。

  ざっくりいうと 呼吸量 光合成 強光耐性
陽性植物 生きるためにはたくさんの光が必要だが、ガンガン成長する。 あり(高)
陰性植物 たくさんの光がなくても生きることができるが、成長はゆっくり。 なし(低)

 

陽性植物は光合成量が多い分、呼吸量も多いです。そしてキサントフィルサイクルなどの強光への耐性もしっかりあるようです。それに対し、陰性植物は少ない光でも生きていけるように、呼吸量をセーブしている感じです。観葉植物の中には「耐陰性有り」といわれている種もありますが、個人的には陰性植物のことを指しているのだと思っています。

 さて、植物には陽性植物と陰性植物があることがわかりました。次は育てている植物が陽性植物なのか、それとも陰性植物なのかを推定してみましょう。推定する際の重要な手がかりはズバリ、「現地の環境」です。

最適な光量を知るには、現地の環境を考えよう

 陽性植物か、陰性植物かを見分ける時、まず最初に調べるのは、「植物の環境」です。例えば、パキポディウムは日光を遮るものがほとんどないようなところで生きています。アグラオネマは背の高い木の下に生えていて、常に日陰のような環境です。ここからなんとなく、陽性植物なのか陰性植物なのか推定できそうですよね。そして、もし可能なら、原産地の年間日射量なども調べられると、より最適な光量が推定できると思います。ゆくゆくはこのブログでも、現地の光量を推定していけたらと思ってます。

 

まとめ

  •  植物には陽性植物と陰性植物がある
  • 現地の環境を元に、最適の光量を推定するのがいいかも

参考

 テイツザイガー 植物生理学