BBYの観葉植物 Discussion Note

観葉植物の生育環境や、育てかたについて考えたことを載せるブログです。

Agave titanota ' No. 1 ' (アガベ チタノタ ’No.1’)について② ~ストリートビューで探してみた & 現地の環境を考察〜

Agave titanota ' No. 1 ' について 第2弾です。

 

 今回は Agave titanota ' No. 1 ' の自生地付近をストリートビューで巡り、現地の環境をまとめてみました。

※今回から Agave titanota ' No. 1 ' = Agave oteroi の1個体 として考察していきます。

 

 

 

 自生地のAgave oteroi をストリートビューで探してみた

Agave oteroi(Asparagaceae/Agavoideae)a new species from North-central Oaxaca, Mexico (GREG D STARR & TRISTAN J DAVIS ,2019)によれば、

新種登録された Agave oteroi は、メキシコ - オアハカ州プエブラ州を通る「Mexico Federal Highway 135D」という道の、丁度境界付近の道脇で見つかったもののようで。

どうやらそのあたりが「 Sierra Mixteca 」なのだそうです。

さらにご丁寧なことに「18.15803 N, 97.25800W」と Sierra Mixteca の座標まで書いてありました。ありがたや〜(^ ^)(※どうやら現地調査で Agave oteroi を見つけた場所のようです。)

 

しかし!残念ながらこの座標では、ストリートビューが使えませんでした。(>_<)

 

仕方がないので、論文を読み進めていくと、Agave  oteroi, Agave titanota, Agave kerchobei, Agave quiotepensis の分布図が載っていました!

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出典:Agave oteroi(Asparagaceae/Agavoideae)a new species from North-central Oaxaca, Mexico (GREG D STARR & TRISTAN J DAVIS ,2019)

この画像の中央上部を見ると「Mexico Federal Highway 135D」に沿うように Agave oteroi が分布しています。

この付近をストリートビューで探したら、 Agave oteroi  が写っていないだろうか。

というわけで、探してみました!

そして、見つけました!!

なんとなくメキシコを感じてもらおうと思い、かなり引きのマップにしてあります。

 

 

上のマップで示した地点をストリートビューで見ると、 Agave oteroi らしき植物が3株ほど。

これが Agave oteroi かどうかわかりませんが、BBY はそうだと判断しました。笑

 

それにしてもすごい場所に生えてますね。

次項では、この辺りの環境を一通りまとめていこうと思います。

Agave oteroi の自生している環境をまとめてみた

気温・降水量と光量については以前、紫外線(UV-B)に絡めて考察したことがあるので、よければそちらもご覧くださいませ。(気温・降水量、光量に関してはこちらの方が詳しく書いてあると思います。)

紫外線がアガベをかっこよくする?~自生地の環境も含め考察してみた~ - BBYの観葉植物 Discussion Note

気温・降水量

 

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メキシコ - ワフアパンデレオン(オアハカ)の2020-2021 気温・降水量

【年間平均気温】 21.58 ℃ (千葉は 16.2 ℃)

【平均最高気温】 30.64 ℃(千葉は 20.2 ℃)

【平均最低気温】 12.53 ℃(千葉は 12.9 ℃)

【年間合計降水量】 697.3 mm(千葉は 1454.7 mm)

比較しやすいように、千葉県の平均値をかっこ内に載せてあります。

年間の平均気温は日本より 5 ℃ 高い程度ですが、

最高気温は 10 ℃ も高いです。まあこれはなんとなく予想できます。

そして意外なのは、平均最低気温があまり変わらないことです。
メキシコというと、なんとなく暑いイメージがありますが、きちんと寒いのですね。

年間降水量は日本の半分以下です。かなり過酷な環境で生育していることがわかります。

 

光量

メキシコは日本よりも赤道に近いので、太陽光の量が多いのはなんとなく想像できます。

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赤道に近いほど、日差しが強い!の図。
※説明の都合上、日本とメキシコの経度を揃えてあります。



植物を LED で育てている人ならなんとなくわかって貰えると思いますが、LED の真下はめちゃ明るくて、端の方はどうしても暗くなっちゃいますよね。

それと同じ原理が宇宙規模で起きてる感じです。笑

 

さて、今回光量を比較するための資料として、『太陽紫外線の状況 - 環境省』を使わせていただきます。

紫外線についての報告書ですが「地域によって紫外線だけに差が出る」ことはほぼないと思うので、

紫外線量の差 = 太陽光量の差

として考えていきます。

 

この報告書の画像を見ると、

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世界の UV インデックスの分布図。
オアハカ州周辺の UVインデックス・・・7月→14、10月→11
千葉周辺の UVインデックス・・・7月→10、10月→6
出典:太陽紫外線の状況 - 環境省

紫外線の強さが「UVインデックス」という値で表されています。

この数値に 0.2 をかけると、かなーーり大雑把なUV-B の放射照度が分かります。*1

 

計算した数値を表にすると、

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メキシコと日本のUVBの強さ比較

この表から、

メキシコは、夏は日本の1.3倍、冬は日本の1.6倍の光量がある

と考えられます。

 

夏に限っていえば、日本とメキシコは、あまり日差しの強さが変わらないってことでしょうか?「1.3 倍」を大きいとみるか、小さいとみるかは人それぞれですよね。すいません^^;

用土

私は地質に詳しくはないのですが、

『メキシコの地質と鉱物資源〜メキシコの地形と地質〜(竹田 英夫)』

にて調べてみると、

 

この辺りは中生代(今から約2.5億 ~ 6600万年前)*2にできた大地だそうで

  • 「砂岩」
  • 「珪岩」
  • 「粘板岩」「頁岩」
    (「粘板岩」「頁岩」は強い圧力により変成した泥岩。)

などの堆積岩で構成されているようです。*3

実際、ストリートビューをみると、 Agave たちは泥岩のような岩の上に生えてます。

どのような岩かまでは、、、すいません。わかんないです。( ;  ; )

よく「石灰岩を含む土壌に生えている」という記述を目にするのですが、どうなんでしょ?こればっかりは現地に行かないとわかりませんねぇ。

 

Agave たちは、それら堆積岩のわずかな隙間や、堆積岩が「崩れた」部分に生えているようです。

こう考えるとかなりたくましいっすねぇ。とても強靱な根は、このような環境で生きてくために発達したのだなとしみじみ感じます。

 

まとめ

  • Agave oteroi はメキシコ-オアハカ州プエブラ州の境を通る、「Mexico Federal Highway 135D」という道の脇に自生している。
  • メキシコは日本よりも平均最高気温が 10℃ 高いものの、平均最低気温はあまり変わらない。
  • メキシコの降水量は日本の半分。
  • メキシコの光量は平均して日本より 1.5 倍ほど高い。
  • Agave oteroi は泥岩などの堆積岩の上、もしくはその隙間に生えている。

参考

【本】

石ころ博士入門 高橋直樹 大木淳一 全国農村教育協会

【Web】

  • メキシコの地質と鉱物資源〜メキシコの地形と地質〜(竹田 英夫)
  • 有害紫外線ネットワーク
  • Agave oteroi(Asparagaceae/Agavoideae)a new species from North-central Oaxaca, Mexico (GREG D STARR & TRISTAN J DAVIS ,2019)

 

*1:UVインデックスと放射照度の変換方法。
紫外線モニタリングネットワーク
トップ>速報値> UV インデックス 取扱上の注意
の参考画像を見て、UV インデックスに 0.2 をかければ放射照度の近似値が出せると思ったというやつです。

*2:石ころ博士入門(2015)全国農村教育協会 より

*3:メキシコの地質と鉱物資源〜メキシコの地形と地質〜(竹田 英夫)より