Tylecodon pearsonii について第①弾。
今回は種の特徴と現地の環境、BBY 流の育て方について書いていこうと思います。
種の特徴
ナミビア〜南アフリカ原産の、細長い多肉質の葉をつける灌木です。
木というにはとても小さく、成熟した個体でも 12 ~ 30 cm 程度にしかならないようです。*1
小さいにも関わらず、まるで大きな盆栽のように 1 本の樹で世界観を作り出しているような、そんな雰囲気があります。かっちょいいんです。
葉について。
Othonna clavifolia も多肉質の葉をつけますが、Tylecodon pearsonii は、より細長い葉をつけます。葉は真っ直ぐ伸びる訳ではなく、緩くカーブしています。
Tylecodon pearsonii の特徴として、葉が落ちた跡が残ります。白いフジツボのようです。うちのは、まだほどんと見ることが出来ませんが、かっこいい特徴です。
ずんぐりとした幹を持つようですが、我が家の pearsonii は縦に長いです。
界 (Kingdom):植物界 (Plantae)
門 (Phylum):維管束植物門 (Tracheophyta)
綱 (Class):種子植物綱 (Magnoliopsida)
目 (Saxifragales):ユキノシタ目 (Saxifragales)
科 (Crassulaceae):ベンケイソウ科 (Crassulaceae)
属 (Genus):チレコドン属 (Tylecodon)
種 (Species):チレコドン・ペアルソニー (Tylecodon pearsonii)
ベンケイソウ科で多肉質の葉をつけることから、CAM植物であると考えられます。
Tylecodon pearsonii の自生地
南アフリカの西海岸近くに広く分布しているようです。以下のリンクで、自生地と自生地での様子を確認できます。
赤色で示した部分が Tylecodon pearsonii の自生地です。Othonna 属と自生地が似ていますね。
どんな環境かイメージできるようにストリートビューも載せておきます。
(ナマクワ国立公園のストリートビュー)
ストリートビューのような、海抜 300 ~ 1000 m の場所に分布しているようです。*2
自生地の環境
スプリングボッグ(ナマクワ国立公園より約 60 km 北東の都市)のデータを載せます。
このグラフからわかることは2つ。
- 11 ~ 4 月は比較的気温が高く、雨が少ない。
- 5 ~ 10 月は比較的気温が低く、雨が多い。
一応、日別のデータも載せておきます。
ただ、これらのグラフだけでは、いまいち現地の環境が想像しづらいです。ここからは、日本 - 千葉県の数値と比較しながら具体的に見ていきましょう。
まず、Tylecodon pearsonii の成長期でもある、5 ~ 10 月(雨季)の気温について。
スプリングボッグ 5 ~ 10 月の平均気温は
11.3 ~ 19.5 ℃
千葉県で、平均気温がこの範囲に入るのは
4 ~ 5 月、10 ~ 11 月の 4 ヶ月。
この 4 ヶ月は、最高・最低気温も現地の雨季に近く、自生地の雨季は日本の「春・秋」とほぼ同じ気温 と言えそうです。
一方、スプリングボッグの 11 ~ 4 月の平均気温も比べると、
スプリングボッグ 11 ~ 4 月の平均気温は
18.2 ~ 24.4 ℃
千葉県で、平均気温がこの範囲に入るのは
5 ~ 9 月の 5 ヶ月。
この表を見る限り、自生地の乾季は日本の夏とほぼ同じ暑さです。ただ、最低気温については日本の夏よりも低いようです。
つまり、現地の乾季は、日中は日本の夏と同程度の暑さだが、夜は日本より涼しい と言えそうです。
次に降水量を比較してみます。
すごい差ですね、、、。笑
年間降水量は
スプリングボッグ・・・ 161 mm
千 葉 ・・・1772 mm
と日本の約 10 分の 1 です! Tylecodon pearsonii はかなり水の少ない場所で生きていることがわかります。
ちなみに、千葉県の4 ~ 5, 10 ~ 11 月で雨の降った日は、38 日。
およそ3日に一度雨が降っていたことになります。
対して、現地の雨季(5 ~ 9 月)で雨の降った日は、27 日。
5 ~ 6 日に一度雨が降る計算です。
こうみると、現地は雨季だったとしても降水量が少ないことがわかりますね。
- 現地の雨季
日本の春・秋とほぼ同じ気候。
ただ、5 ~ 6 日に一度しか雨が降らない。 - 現地の乾季
日本の夏と同じくらい暑いが、夜は日本より涼しい。
雨はほとんど降らない。1ヶ月間、全く雨が降らないことも。
Tylecodon pearsonii の生育方針
光量
成長した個体や、しっかりと根付いた個体なら、通年、直射日光下で生育可能だと思われます。
というのも、Tylecodon pearsonii が自生している南アフリカの日差しは、日本と同等のようだからです。
こちらをみてください。
この図は、太陽から放たれる紫外線の強さを色別に表したもので、日本と Tylecodon pearsonii の自生地を白線で囲ってあります。
日本の 7 月と自生地の 10 月、日本の 10 月と自生地の 7 月 の紫外線の強さはほぼ同じです。
紫外線の強さ=日差しの強さと考えると、日本と自生地の日差しの強さはほぼ同じであると思われます。
つまり、成長した個体や、しっかりと根付いた個体なら、年間を通じて直射日光下で生育可能だと思われます。
気温
先ほど、自生地の気温についてまとめた通り、日本で現地の雨季に近い月は 4, 5, 10, 11 月です。
また、日本の夏は自生地の乾季よりも暑く、日本の冬は雨季よりも寒いです。そのため、日本では、夏になると休眠を始めることがあるようです。落葉し始めたら、水やりを控えようと思います。
ただ、BBYの pearsonii は室内で管理しており、2021 年の夏は 30 ℃ を超えていたのにも関わらず休眠しませんでした。これに関しては生育記録で深く触れたいと思います。
そして、日本の冬は現地の最も寒い時期よりも寒いです。Tylecodon pearsonii の耐えられる低温は 5 ~ 8 ℃*3らしいので、最低気温がこの温度帯になったら室内に取り込むようにしたいところです。
水やり
前述した通り、自生地は雨がとても少ないです。水やり頻度が少なくても生きていけそうですが、用土表面が乾いたら水をあげることにします。
まとめ
- Tylecodon pearsonii はカッコイイ。
- 現地の雨季は、日本の春・秋とほぼ同じ気候。ただ、5 ~ 6 日に一度しか雨が降らない。
- 現地の乾季は、日本の夏と同じくらい暑いが、夜は日本より涼しい。雨はほとんど降らない。1ヶ月間、全く雨が降らないことも。
- 現地の日光の強さは日本と同程度。
さて、次回は生育記録です!
参考
【Web】
Tylecodon pearsonii - FFIFLE
Tylecodon pearsonii - GBIF
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