BBYの観葉植物 Discussion Note

観葉植物の生育環境や、育てかたについて考えたことを載せるブログです。

Othonna herrei (オトンナ ヘレー:蛮鬼塔) BBY流の育て方 & 生育記録 Vol. 1

 

 Othonna herrei について

f:id:BambooBornY:20221125100556j:image
種の特徴

キク科オトンナ属の低木(灌木)で、最も特徴的なのはごつごつとした幹です。第一印象は「グラビモスみたい」でした。

モンスターハンターシリーズに出てくる岩石竜のモンスターなのですが、似てませんか?(笑)尻尾とか首なんか特に。)

この「ゴツゴツ」、新しい葉の元にあり、成長と共に大きくなります。

O. herrei の幹。成長点が緑色になっている。

落葉したらゴツゴツの成長が止まってしまう、なんてことはないです。写真のように、その後もきちんと大きくなっていきます。

円~楕円形で基部が大きくくびれる葉を付けます。

O. herrei の葉。

 

葉の色は白みがかった緑色で美しいです。葉脈が暗い赤~紫色でかっこよい!

O. herrei の葉。綺麗な緑。

素敵なオトンナです。

 

自生地の紹介と光量の検討

Othonna herrei は南アフリカ北西部、ナミビアとの国境付近に多く分布しているようです。

参考:Othonna herrei Pillans

 

ピンクのピンで示した場所でストリートビューできたので、見てみると


幹だけでなく、自生地までもゴツゴツ。かなり過酷な環境であることが伺えます。日差しを遮るものがないので、直射日光で管理しても大丈夫そうです。(発芽してすぐの場合や、長期間弱光下で管理していた場合を除く。)

LED で管理する場合は 400 μmol m-2s-1 以上あった方ががっちりと育ってくれそうです。

bambooborny.hatenablog.com

自生地の日差しの強さを見てみましょう。下図は2008年の7・10月の世界の UVインデックス強度を示したものです。紫外線の強さが分かれば、日差しの強さも何となくイメージできるかと。
UVインデックスというのは、紫外線の強さを人体に及ぼす影響という観点から数値化したもので、値が大きいほど紫外線が強いです。

世界の月平均晴天UVインデックスの分布例
(上:2008 年 7 月、下:2008 年 10 月)
出典:気象庁 オゾン層観測報告 2008

上地図から日本と O. herrei の自生地付近を抜き出し、UVインデックスを比較してみます。

日本とOthonna herrei (南アフリカ)のUVインデックス比較
参考:気象庁 オゾン層観測報告 2008

ここから、

ということがわかります。

O. herrei が元気に成長するのは雨季なので、日本で管理する際は、冬の日差しが適していると考えられます。

また、日本の夏の日差しは現地での乾季、すなわち休眠期の日差しの強さに相当します。
そのせいか、複数のサイトで「夏の直射日光は良くない」との記載が。

Othonnas tend to be fairly hardy … In summer protect plants from direct sunlight.
(Othonna 属は頑丈なものが多いです … 夏には、直射日光から植物を守ります。)
出典:
http://www.africansucculents.eu/informations/othonna.html
How to Grow and Care for Othonna | World of Succulents
(文章が完全に一致しているところがあります。どっちかコピペした?笑)

ですが、私は夏でも直射日光に当てています。(植物の様子を見ながらですが、、、)

休眠を誘導させるためです。日本の夏は湿度が高いので、日陰に置いた方が良いと言われたりしますが、私は気にせず日向に置いています。

ここまでのまとめ
  • 自生地は南アフリカの西側、ナミビアとの国境付近。
  • 自生地には大きな樹木が生えておらず、 直射日光下で生きていると思われる。
  • 南アフリカの夏(雨季)の日差しと、日本の冬の日差しはだいたい同じ強さ。
  • O. herrei は冬の日差しと同程度の光量が良い。
  • BBYは休眠打破のため夏も日向に置く。
自生地の気候から生育温度の検討

まずは「スプリングボック」(上記地図の緑ピン)のデータをもとに自生地付近の気候をまとめていきます。まずは 2020 年の月統計値。

f:id:BambooBornY:20210623234417p:plain

スプリングボックの 2020 年 月統計値。
参考:気象庁

このグラフを見ると、

4月〜9月 (雨季)→ 気温、降水量
10月〜3月(乾季)→ 気温、降水量

ということがわかります。耐えられる高 or 低温を知るため、日別値を見てみます。  

f:id:BambooBornY:20210623234045p:plain

スプリングホック 2020 年の日別値
参考:気象庁

見づらくてすいません。^^;  必要な情報をまとめてみます。

現地の環境比較 2020年の日別値から算出
参考:気象庁 - 世界の気候データベース

これらのデータから

  1. 最低気温 は 0 ℃ までなら耐えられそう
  2. 最高気温は 35 ℃ までなら耐えられそう

ということが予測できます。夏はともかく、日本の厳冬期は室内に取り込む or 加温するなど対策が必要そうです。

自生地の気候から水やり頻度の検討

自生地から察するに、かなり乾燥に強そうです。

成長期(ここでは葉が茂っている時期とします。)には、表面の用土が乾いてから 2 ~ 3 日後に水やりをしています。

休眠期(落葉している時期とします。)は、基本的に水を与えないようにしようと思います。

In the warmer months, Othonnas go into their dormancy period. Stop watering, place them in a shaded, cooler area, away from getting direct sunlight, relatively dry and with good air circulation.
(暖かい時期になると、Othonna 属は休眠期に入ります。水やりをやめ、日陰の涼しいところで、直射日光を避け、比較的乾燥しており、空気循環があるところにおいてください。)

出典:How to Grow and Care for Othonna | World of Succulents

 

ではでは、次項から生育記録を書いていきます。

お迎え時〜2021年2月末までの生育記録

お迎えした2020年8月から2021年2月までは、細かい記録を取っていないので、ダイジェストでお送りします。

お迎え時〜2月末までの生育記録

 

2020年10月18日、千葉県木更津市で行われたチョトチョットマーケットというイベントにて、Othonna clavifolia と共にお迎えしました。

まだ最大の特徴である、幹がほとんど見えません。当時は、これから少しずつ幹が大きくなっていくのか、、と期待に胸をふくらませていました。

11月末までは日中屋外の無遮光管理、日没後は室内に取り込み、19時まで LED ライトの光を照射させていました。この時期は順調に葉を展開させていたように思います。

 12月から完全に室内管理に移行しました。夜の低温を避けるためです。

以降、2月末まで室内管理を継続させました。当時の写真がないので詳しい事は書けませんが、1月以降は成長がかなり鈍化していたように思います。

 2021/2/25 から屋外管理に戻し、3月に至ります。

21年3月~22年6月末までの生育記録

2021年3月から、定点撮影をして1月ごとの様子を撮影しました。気温、湿度も記録を取り、成長度合いと環境の相関があるかを調べられるようにしました。

管理カレンダー

生育環境をまとめるとこんな感じでした。

2021年3−9月の管理カレンダー

 

21年3月 ~ 7月20日の間、屋外で管理。

7/21 から屋内の植物棚で管理。

※屋外管理の際、雨が続くときなどは室内(植物棚 or 無LED & 無加温)に入れて管理しました。

各管理の詳細はこちら

屋外管理

ベランダの外側に自作の棚を作り、そこで管理しています。エキスパンドメタルを敷き、通気性をあげております。2階なので、風通りは良いかと。

屋外管理で使用している植物棚。

外側につけているので、日当たりも良好。季節にもよりますが、5~17時の間は直射日光が当たります。

 

屋内管理(室内の植物棚)

我が家の植物棚の風景。

〜〜〜屋内管理(植物棚)の詳細〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、ほぼ中心
【PPFD 値(推定)】 400 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜7/21 ~ 屋内管理(植物棚)の詳細〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、中心から約 10 cm
【PPFD 値(推定)】 100 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

3月末
3月の詳細

環境の計測を始めたのが、3/16 からなので、それ以前のデータがないです。ただ、平均気温は約17℃とかなり良さげでした。

3月の環境。日付が水色の日に水やり、もしくは雨ざらし。緑色の網掛けは室内管理している日。

3月の日照時間と降水量

葉が赤みを帯びています。もしかしたらこの時すでに休眠のスイッチが入っていたのかもしれません。この頃、他の Othonna 属は盛んに成長していたのを見ると、他の Othonna に比べ、Othonna herrei は温度に敏感なのかなと思います。

屋外の温度はそこまで高くなかったので、屋内管理時に休眠のスイッチが入ったと推測されます。

f:id:BambooBornY:20221116122941j:image

4月末
4月末の環境詳細

比較的、晴れの日が多かった4月。25℃を超える日があれば、最低気温は5℃を下回る日もあり、気温差が激しかったです。

4月の環境。日付が水色の日に水やり、もしくは雨ざらし。緑色の網掛けは室内管理している日。

4月の日照時間と降水量

〜〜〜その他の環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、ほぼ中心
【PPFD 値(推定)】 400 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

葉が一枚脱落しました。新しい葉も大きくなる気配がないです。やはり、休眠のスイッチが入ってしまっているようです。

f:id:BambooBornY:20221018011012j:image

5月末
5月末の環境詳細

最低気温が5℃近く上がり、暖かくなりました。

5月の環境。日付が水色の日に水やり、もしくは雨ざらし。緑色の網掛けは室内管理している日。

5月の日照時間と降水量

〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、ほぼ中心
【PPFD 値(推定)】 400 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

大きな葉はすべて脱落しました。もうほぼ休眠完了です。笑

f:id:BambooBornY:20221018011032j:image

6月末
6月末の環境詳細

気温は順調に高くなりましたが、梅雨時期で雨が多かったです。。

6月の環境。日付が水色の日に水やり、もしくは雨ざらし。緑色の網掛けは室内管理している日。

6月の日照時間と1日の合計降水量

〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、ほぼ中心
【PPFD 値(推定)】 400 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

先月とほとんど変化がありません。変化があるとしたら、残っている葉が少し黄色くなったことでしょうか。最後の葉も落とし、完全休眠の時が近そうです。そろそろ断水かな?

f:id:BambooBornY:20221018011047j:image

7月末
7月の環境詳細

気温はさらに高くなりました。梅雨明けした11日からいい天気が続きました。

7月の環境。日付が水色の日に水やり、もしくは雨ざらし。緑色の網掛けは室内管理している日。

7月の日照時間と1日の合計降水量

〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、ほぼ中心
【PPFD 値(推定)】 400 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

最後の葉が枯れたので、7/21 から植物棚内で管理しました。

〜〜〜7/21 ~ 屋内管理(植物棚)の詳細〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、中心から約 10 cm
【PPFD 値(推定)】 100 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


残っていた最後の葉は枯れ、完全な休眠モード。

f:id:BambooBornY:20221018011111j:image

8月末
8月の環境詳細

7月と同様に気温・湿度が高かったです。

8月の環境。日付が水色の日に水やり。

〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、中心から約 10 cm
【PPFD 値(推定)】 100 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


特に変化なし。

f:id:BambooBornY:20221018011131j:image

9月末
9月の環境詳細

少しづつ暑さが和らいできた9月。8月から3℃くらい涼しくなりました。

9月の環境。日付が水色の日に水やり。

〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、中心から約 10 cm
【PPFD 値(推定)】 100 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

この月も変化なし。

f:id:BambooBornY:20221018011149j:image

振り返り

この7ヶ月の成長について振り返ります。

成長の仕方について

2021年3月末と9月末を比べてみると

左:2021年3月末  右:2021年9月末

落葉しただけで幹の成長はほとんど見られませんでした。(>_<)

各月末のようすをまとめるとこのような感じでした。

成長まとめ

3月末時点で、すでに休眠モードになっていたのでしょう。現段階では考察できることがあまりないです、、、。今後に期待ですね。

 

その後の記事

bambooborny.hatenablog.com

 

参考

growing othonna

 Othonna herrei Pillans

How to Grow and Care for Othonna | World of Succulents