- Othonna euphorbioides について
- Othonna euphorbioides の生育方針
- お迎え時〜2021年2月末までの生育記録
- 21年3月~22年6月末までの生育記録
- 振り返り
- 参考
Othonna euphorbioides について
種の特徴
キク科オトンナ属の低木(灌木)です。
幹は濃い茶色で、葉の色は薄い青緑色で、厚さは2 mm 程度でしょうか。少し厚みがあります。葉の長さは大きいもので 3 cm 程度。しゃもじのような形をしています。葉が沢山つくので、南アフリカ原産なのに盆栽感があって素敵です。
最大の特徴は花茎です。伸びた花茎は枯れ落ちずに残り、トゲのようになります。
これがめちゃカッコイイ!!こんな特徴を持つ植物、日本で見ることはできないでしょう。
この「残る花茎」ですが、花を咲かせるより前に、偽物のトゲ?を出しているように思います。
先端に花がないものを出すことで、捕食されないようにしているのでしょうか。偽の花茎の方がより頑丈なトゲになる気がします。
自生地とその環境
Othonna euphorbioides Hutch.によれば、Othonna euphorbioides は南アフリカの北国境付近に多く分布しているようです。このサイトの観測地をまとめるとこのような感じです。
google map のストリートビューができるところを探してみると、南アフリカの「スプリングボック」という街近くの道がありました。みてみると、
道脇に所々、岩の丘のような場所があります。どうやらこのような「岩の丘」に自生しているようです。
さて、「スプリングボック」の気温・降水量を見てみましょう。まずは 2020 年の月統計値。
このグラフを見ると、
4月〜9月 (雨季)→ 気温低、降水量多
10月〜3月(乾季)→ 気温高、降水量少
ということがわかります。実際、O.euphorbioides は乾季に休眠し、雨季に成長するようです。
the species is semi-deciduous from november to april, but the odd late summer thunderstorm is sufficient to cause the plants to produce leaves and flower.
(この種は 11 月から 4 月まで半落葉しますが、夏の終わりの奇妙な雷雨は、植物に葉や花を咲かせるのに十分です。)the main growth period is from may to september, which coincides with the highest rainfall.
(主な成長期は 5 月から 9 月で、これは降水量が最も多い時期と一致します。)出典:Othonna euphorbioides, O.herrei and O. lepidocaulis: Their Natural History and Propagation (Charles Craib 1997)
日別値を見てみましょう。
見づらくてすいません。^^; 必要な情報をまとめてみます。
こう比較してみると、乾季と雨季では
- 気温に約5℃ の差がある
- 雨の降った日数が大きく異なる
ことがわかります。以上をもとに生育方針を考えていこうと思います。
Othonna euphorbioides の生育方針
光量、日照時間など
ほとんど日差しを遮るものがない場所で生育しているようなので、屋外で管理する場合は直射日光で問題ないと思います。(発芽してすぐの場合や、長期間弱光下で管理していた場合を除く。)
LED で管理する場合は 400 μmol m-2s-1 以上あった方ががっちりと育ってくれそうです。
ただ複数のサイトで「夏の直射日光は良くない」との記載が。
Othonnas tend to be fairly hardy … In summer protect plants from direct sunlight.
(Othonna 属は頑丈なものが多いです … 夏には、直射日光から植物を守ります。)出典:http://www.africansucculents.eu/informations/othonna.html
こちらのサイトにも同様の記載がありました。
worldofsucculents.com(文章が完全に一致しているところがあります。どっちかコピペした?笑)
私は夏でも直射日光に当てています。
→休眠を誘導させるため。
日照時間に関しては、他の灌木と同様、長日条件(12時間以上)にしています。
基部(株元)の枝分かれを防ぐ、というのが理由です。
(Othonna euphorbioides に関しても、基部で枝分かれしてもカッコよくなると思いますけどね。)
水やり
自生地から察するに、かなり乾燥に強そうです。
成長期(ここでは葉が茂っている時期とします。)には、表面の用土が乾いてから 2 ~ 3 日後に水やりをしています。
休眠期(落葉している時期とします。)は、基本的に水を与えないようにしようと思います。
In the warmer months, Othonnas go into their dormancy period. Stop watering, place them in a shaded, cooler area, away from getting direct sunlight, relatively dry and with good air circulation.
(暖かい時期になると、Othonna 属は休眠期に入ります。水やりをやめ、日陰の涼しいところで、直射日光を避け、比較的乾燥しており、空気循環があるところにおいてください。)
肥料など
最大の特徴である花茎跡の「ツノ」をたくさん出すために、花茎が出始める1ヶ月前にうすーーい液肥をあげるとイイかなと思っています。
この記事でも言及したのですが、植物は土壌中の窒素やリンなどの栄養素が多いとき、たくさん枝分かれするらしい。土壌が富栄養だと、植物体内のサイトカイニンレベルが上がる。そしてサイトカイニンが BRC1 (枝分かれを負に制御する遺伝子)の発現を抑制するらしいのです。詳細は上の記事にて。
この現象、枝だけでなく、花茎にも応用できそうな気がします。BBY はあまり肥料を使わない派なのですが、O. euphorbioides に関しては花の時期に合わせて液肥を使うのもイイかなと考えています。ちなみに O.euphorbioides は一年中花を咲かせるそうです。
the plants flower throughout the year, with peaks in early winter, spring and early summer.
(この植物は、初冬、春、初夏にピークを迎え、一年中花を咲かせます。)出典:Othonna euphorbioides, O.herrei and O. lepidocaulis: Their Natural History and Propagation (Charles Craib 1997)
温度
Othonna 属は冬型の灌木と言われます。
冬型という言葉に惑わされ、冬に育つと勘違いしがちですが、そんなことはなく。どちらかというと、冬型植物=夏に休眠する植物と考えた方が良さそうです。
Othonna 属は主に現地でいう雨季(4月 ~ 9月)に成長するようです。
雨季の気温は先ほど書いた通りで、
【平均最高気温】 21.03 ℃
【平均最低気温】 10.73 ℃
【平均気温】 15.86 ℃
です。2020年から育てていますが、これらの気温に近い方が元気な感じがしました。やっぱり現地の環境に寄せることは大事かと。
ではでは、次項から生育記録を書いていきます。
お迎え時〜2021年2月末までの生育記録
お迎えした2020年8月から2021年2月までは、細かい記録を取っていないので、ダイジェストでお送りします。
21年3月~22年6月末までの生育記録
2021年3月から、定点撮影をして1月ごとの様子を撮影しました。気温、湿度も記録を取り、成長度合いと環境の相関があるかを調べられるようにしました。
管理カレンダー
生育環境をまとめるとこんな感じでした。
21年3月 ~ 9月の間、屋外で管理。
※屋外管理の際、雨が続くときなどは室内(植物棚 or 無LED & 無加温)に入れて管理しました。
3月末
この月は撮れていません。ごめんなさいm(_ _)m
4月末
5月末
6月末
7月末
8月末
9月末
振り返り
この7ヶ月の成長について振り返ります。
成長の仕方について
成長をまとめるとこのような感じでした。
今回、幹の肥大は見られませんでした。
葉がたくさん茂っていて見づらいですが、各枝の頂点が大きくなったように思います。
今年はたまたま幹の肥大ターンでは無かったか、そもそも幹の肥大をあまりしない種なのか。これについては今後も観察を続けていかなければわかりませんね。
成長期と休眠期について
3~5, 9月は綺麗に成長しています。確かに、この時期は自生地の雨季に近い環境です。
一方、6 ~ 8月は休眠モードといった感じ。ただ、8月末には新葉が出始めています。ぱっと思いつく可能性は2つ。
- O. euphorbioides は完全に休眠しない or 休眠期間が短い
- 日本の夏環境では完全に休眠しない
1. に関して。
参考文献にも「11~4月は半落葉する」*2と書かれており、完全には落葉しない可能性があります。
2. に関して。
日本の夏は南アフリカの乾季と違い、降水量が多く、湿度も高いです。湿度や降水量が休眠に関係している場合、完全に休眠しないのかもしれません。
その後の記事はこちら。
参考
How to Grow and Care for Othonna | World of Succulents
Othonna euphorbioides, O. herrei and O. lepidocaulis: Their Natural History and Propagation