BBYの観葉植物 Discussion Note

観葉植物の生育環境や、育てかたについて考えたことを載せるブログです。

Dyckia 'Hotaka' (ディッキア ホタカ) BBY流の育て方 & 生育記録 Vol. 1

 

Dyckia ‘Hotaka’ について

Bromeliad Cultivar Register 登録品種。

BCR Bromeliad Cultivar Register>

大きな鋸歯を持ち、赤みがかった栗色の葉に細かいトリコームが載る、とても上品な個体です。作出者が日本の穂高岳をもとに命名した、名前もおしゃれなやつです。

交配内容は以下の通り。

 

Dyckia ‘Hotaka’ の系譜
参考:BCR Bromeliad Cultivar Register>

‘Quantum’ と ‘Keswick’ はどちらも交配元がわからず。個人的に大好きな交配内容です。確か D. ‘Kaguyahime’ も同じ交配だったと思います。*1

では特徴を見ていきましょう。(2022年12月時点での特徴を書いています。)

全体像(22年12月15日撮影)

 

鋸歯は正三角形に近いですが、尖っている部分が少しすぼまっています。

全体的にトリコームが載っています。鋸歯と葉の間にはトリコームが多く載り、綺麗です。

葉のアップ写真。
鋸歯付近だけでなく、葉の中央部分にもトリコームが載っている。

 

株の大きさは、成熟株で直径 25 cm だそうです。

Mature, open rosette to 25cm. diameter in strong light.
(強光下での直径は 25 cm です。)

出典:BCR Bromeliad Cultivar Register>

 

我が家のD. ‘Hotaka’ は直径10cm程度で、BCR の掲載内容よりも小さくなっています。

D. ‘Hotaka’ の大きさ

もしかしたら、これからもっと大きくなるかもしれないです。小型でとても美しいDyckiaです。

 

生育記録 (21年4月~22年9月末まで)

定点撮影をして各月の様子を撮影しました。気温、湿度も記録を取り、成長度合いと環境の相関があるかを調べられるようにしました。

 

管理カレンダー

生育環境をまとめるとこんな感じでした。

Dyckia ‘Hotaka’ 21年4月〜9月 の管理カレンダー

21年4月9日にお迎え。AMATERAS LED で管理。
しかし、葉色がかなり悪くなってしまったので、
4/20 以降は、LED から遠ざけ光量を下げて養生管理。
5/5 に植えかえ。引き続き、養生管理。
5/23 以降は、LED に近づけ、室内管理。
6/1 以降、基本的に屋外管理。
※屋外管理の際、雨が続くときなどは室内(植物棚 or 無LED & 無加温)に入れて管理しました。

各管理の詳細はこちら

屋外管理

ベランダの外側に 3COINS の棚を引っ掛け、その上にシステムトレーを載せ、そこで管理しています。2階なので、風通りは良いかと。

屋外管理で使用している 3 COINS の棚

実際に植物を置いている様子

外側につけているので、日当たりも良好。季節にもよりますが、5~17時の間は直射日光が当たります。

 

屋内管理(室内の植物棚)

我が家の植物棚の風景。Dyckia ‘Hotaka’ は右端にいます。

 

4月末
4月の環境詳細

室内だったので、最低気温は 16 ℃ 程度とそこまで低くなかったです。

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4月の生育環境。日付が水色の日に水やり。灰色の編みかけの期間は Dyckia 'hotaka' 導入前。4/20 から養生管理。

【平均最高気温】26.32 ℃ (最大値 4/21 の 29.39 ℃)
【平均最低気温】16.6 ℃(最小値 4/21 の 12.75 ℃)
【月平均気温】21.68 ℃
【月平均湿度】52.61 %

その他の環境情報

【使用LEDライト】 AMATERAS LED
【ライトとの距離】 鉢から 30 cm、中心から2~3 cm ほどズレた所
【PPFD 値(推定)】 400 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】腰水にて灌水。日付背景が水色の日に受け皿に水を足した
【その他】卓上扇風機で送風

 

お迎えしてすぐに AMATERAS LED を鉢底から 30 cm の距離から照射し、水は腰水で管理していましたが、かなり体調が悪そうでした。

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2021/4/20 撮影。緑が薄くなり、明らかに調子が悪そうだったので、植物棚の最下段に移動

このままではまずいと思い、低光量で管理する「養生管理」をさせることにしました。

養生管理の環境情報

【使用LEDライト】 EnFun LED 120W つまみを 8 にセット
【ライトとの距離】 鉢から 100 cm、中心から2~3 cm ほどズレた所
【PPFD 値(推定)】 140 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】腰水にて灌水。日付背景が水色の日に受け皿に水を足した
【その他】卓上扇風機で送風

 

3日後、ようすを見てみると、緑が濃くなってかなり復活したようでした。とりあえず一安心。

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2021/4/23 撮影。回復しているように見える。

また調子を崩すのが怖かったので、このまま4月末まで「養生管理」を続けました。

うちに来る前は遮光で管理されていたそうで、いきなりの高光強度はよくないと聞いてはいましたが、400 μmol m-2s-1 の光に耐えられないとは思っていませんでした。Dyckia 'All star' や Dyckia goelingii など、昨年は真夏の直射日光でガンガン成長していたので、400 μmol m-2s-1 くらい平気だろうと高を括っていたのです。養生管理って大事なんですねぇ。勉強になりました。

どうやら、小さい株は根が発達していないため、高光強度の光を浴びると吸水が追いつかずにダメージを受けてしまうそうです。*2

「養生管理」において、100 μmol m-2s-1 程度の光は丁度良かったみたいです。
もしかしたら 200 μmol m-2s-1 程度までは問題ないのかもしませんが、検証が必要ですね。

4月末の写真がないので、お迎え初日の写真
5月末
5月の環境詳細

5月も室内管理を継続しました。5/5 に植え替えをし、22日までは養生管理をしました。5/23 から LED で高光量を与えました。

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5月の生育環境。日付が水色の日に水やり。
5/5 に植え替え。5/23 まで養生管理。

【平均最高気温】27.9 ℃ (最大値 5/9 の 33.45 ℃)
【平均最低気温】21.45 ℃(最小値 5/12 の 18.44 ℃)
【月平均気温】24.79 ℃
【月平均湿度】58.54 %

5/5 に植え替えをしました。お迎え時からベラボンに活着していたので、1回り大きい鉢にベラボンごと入れ、周りに用土を足し入れた感じです。

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2021/5/5 撮影。 植えかえ後のようす。 他の Dyckia たちも同時に植え替えた。
右奥が Dyckia 'Hotaka' 。
植えかえ情報

【使用鉢】 FR鉢 3号 (容量 0.3 L)
【用 土】サボテンオークション日本の用土を真似たもの
【その他】根はいじらずに鉢増しするように植えかえた

 

植え替え後も「養生管理」を継続させました。

 

その他養生管理の環境情報

【使用LEDライト】 EnFun LED 120W つまみを 5 にセット
【ライトとの距離】 鉢から 100 cm、中心から2~3 cm ほどズレた所
【PPFD 値(推定)】 100 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】腰水にて灌水。受け皿に水を足す時に水色の印を記載
【その他】卓上扇風機で送風

 

5/23 に LED の光強度が高い場所に移動しました。

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LED 下に移動。 鉢下から約 40 cm の距離。 5/23 撮影。

以前は耐えられなかった高光量ですくすく成長しました。

 

5/23以降の環境情報 【使用LEDライト】 EnFun LED 120W つまみを 5 にセット
【ライトとの距離】 鉢から 40 cm、中心から2~3 cm ほどズレた所
【PPFD 値(推定)】 1200 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】腰水にて灌水。受け皿に水を足す時に水色の印を記載。
【その他】卓上扇風機で送風

 

葉の緑色は完全に戻りました。 お迎え時の急な光強度のせいで葉にアントシアニンがたまりましたが、アントシアニンの赤色と葉の緑色がきれいにフュージョンしてくれた感じがします。

さて、生育用 LED でもアントシアニンが溜まりました。生育用 LED (AMATERAS LED)には紫外線は含まれていません。つまり、Dyckia 属において、青 〜 赤色光でもアントシアニンは誘導できるということがわかりました。

6月末
6月の環境詳細
6月から満を時して屋外管理に移行しました。少し心配だったので、水やり回数は多めになりました。

6月の環境。日付が水色の日に水やり、もしくは雨ざらし。緑色の網掛けは室内管理している日。

6月の日照時間と1日の合計降水量

〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜
【使用LEDライト】 AMATERAS LED
【ライトとの距離】 鉢から 30 cm、中心から4 ~ 5 cm ほどズレた所
【PPFD 値(推定)】 400 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】腰水
【その他】卓上扇風機で送風
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 6月の頭に屋外管理に移行したわけですが、6月といったら梅雨の時期ですよね。日照時間が限られていましたが、屋外管理に移すにはちょうど良い期間だったかもしれません。特に体調を崩すことなく生育しています。

ただ、草姿に締まりがないですね。三人展で見た ‘Hotaka’ は鋸歯が大きく、トリコームもびっしりと乗っていて、かつ葉が短く、横幅が広かったです。

そんな姿にするためには、日光に含まれる紫外線が必要だと思っています。紫外線については今までいろいろと考察してきましたが、

 

bambooborny.hatenablog.com

 

bambooborny.hatenablog.com

 

bambooborny.hatenablog.com (下の記事はアガベと紫外線についてですが、Dyckia にも当てはまる内容だと思います。)

 やはり、ゴリっとかっこよく育てるためには直射日光で管理したほうがいいなと改めて感じました。特に今の時期(7~8月)はUV-B の放射照度が 2.0 W/m2 以上(関東の場合)になるので、絶好のチャンスだと思います。

7月末
7月の環境詳細
7/1 ~ 9 は梅雨の影響で室内管理。梅雨明けの 7/10 から、屋外管理を再開させました。

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7月の環境。日付が水色の日に水やり。緑色の網掛けは室内管理している日。

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7月の日照時間と降水量
〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 EnFun LED 120W つまみを 10 にセット
【ライトとの距離】高さ 50 cm、中心から 2 ~5 cm ほどズレた所
【PPFD 値(推定)】約 1500 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】腰水
【その他】卓上扇風機で送風
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かなりの日差しを当てました。鋸歯は大きいと思いますが、葉の長さが気になるところ。

8月末
8月の環境詳細

7月の管理を継続させました。

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8月の環境。日付が水色の日に水やり。緑色の網掛けは室内管理している日。

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8月の日照時間と降水量

〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 EnFun LED 120 W つまみを 6 にセット
【ライトとの距離】 鉢から 40 cm、中心から2 ~ 3 cm ほどズレた所
【PPFD 値(推定)】 1000 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【その他】卓上扇風機で送風
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もう夏の日差しにもなれたかなと思い、10日から腰水管理を終了し、通常の水やりに戻しました。 ただ、他のDyckia 達が調子を崩し始めたので、31日に再び腰水管理に戻しました。

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8月31日、再び腰水管理にした様子。

 

8月の強烈な日差しを受け、だんだんと大人の顔つきになってきました。少し日焼けしているようにも見えますが、大丈夫かな?

だんだん大人の顔つきになってきた。



9月末
9月の環境詳細
9月初旬は雨が多かったものの、気温はまだまだ高かったです。

9月の環境。日付が水色の日に水やり、もしくは雨ざらし。緑色の網掛けは室内管理している日。

9月の日照時間と1日の合計降水量

〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 EnFun LED 120 W つまみを 7 にセット
【ライトとの距離】 鉢から 40 cm、中心から2 ~ 3 cm ほどズレた所
【PPFD 値(推定)】 1200 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【その他】卓上扇風機で送風
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葉焼けかと思われた部分は無事でした。それにしてもいい感じです。

 

にしても子株がたくさんついています。

振り返り

お迎え初日と9月末を比べるとこんな感じ。
半年でかなり成長しましたねー。新たに展開した葉は10枚以上。鋸歯は比較的大きくなり、鋸歯と葉の間にもトリコームが濃く載るようになりました。子株もたくさんつきました。

左:お迎え初日  右:2021年9月末

 

2021年4月 ~ 2021年9月 成長の軌跡

5月以降、かなりのスピードで成長していることがわかります。ただ、8〜9月はそれ以前よりも成長が緩やかになっています。もしかしたら、根が成長しすぎて、鉢がパンパンになってしまったのかも。

今後も経過を観察していきます。

参考

 BCR Bromeliad Cultivar Register>

Dyckia Kaguyahime (Quantum x Keswick)(#PSA051) Panus Hybrid | Panus Japan