わたし、Billbergiaが好きなんです。ですが、育成が難しい、、、。本記事では、理想の姿に育てるための環境を考察していきたいと思います。
※本記事は完全にBBYの仮説です。参考にする際はご注意ください!
BBYが目指すBillbergiaの理想形
BBYが目指す Billbergia の理想形は
- 葉先が外に広がらずに、真上を向いている。
- バンドがくっきり出ていて、スポットが多い。
- 葉の幅が広く、先端が四角くなっている。
- 葉焼け、ダメ、絶対。
実物で言うとこんな感じ。
こんな株に育てあげたいっすなぁ
理想の姿にするため、まずは昨年の生育環境を振り返っていこうと思います。
2020年の生育環境を振り返る
2020年6月~
植物沼に浸かり出して間もない頃、BBYはタンクブロメリアに爆ハマりしていました。
5月末に一気に買い始め、6月1日には 6 株のタンクブロメリアを所有していました。
このころはネットでいろいろ調べ、「直射日光当てる=葉焼けする」と完全に思い込んでいたので、外に出すこと1度だけしかありませんでした。
一度だけ外に出した時も、見るからに調子悪そうだったので、すぐさま退散。当時はめちゃチキンでした。笑
太陽光の代わりにネットで評判の良かった AMATERAS LED を購入し、植物の先端から60 cm 程度離れた場所から照射していました。この状態では光量が足りないので、植物はほとんど成長しない、むしろ体調が悪そうでした。
ちなみに灌水方法は
「筒内に溜まっている水が残り少なく、底が見える程度になったら溢れるくらい水やり」です。以降も水やり方法は一緒です。
2020年8月~
梅雨が明けたと同時に外管理に再チャレンジしました。5:00~15:00の約10時間程度日光が当たる場所に置き、55% の遮光ネットを用意して管理していました。やはり成長は感じられず。
2020年9月26日~
遮光せずに外管理をはじめました。
葉焼けの心配は一切なく、とても元気に成長していました。やっぱり成長すると楽しいですね。この時期まで落ちかけていたテンションが一気に回復したのを覚えています。
2020年11月27日~
寒くなってきたので、室内管理に完全移行。
この時から水やり頻度をかなり下げていたと思います。
ほとんど葉焼けすることなく、過ごしていたと記憶してます。
2021年1月14日~
屋内もめちゃんこ寒かったので、パネルヒーターを購入。
翌日に一部の株に葉焼けの症状が、、、、。(T_T)
まさか LED で葉焼けするとは思いませんでした。光量の多くない場所に移動し、様子を見ることに。場所を移してから葉焼けの症状は現れず、その状況を維持したまま今に至ります。
振り返ってみると、なかなかにうまくいってませんね。笑
ですが、生育のヒントがたくさん得られました。この振り返りをもとに理想の姿に近づけるための環境を考察していきたいと思います。
振り返ってわかった、 Billbergia が耐えられる光量
太陽からの理想光量
生育環境を振り返って、一番元気に成長していたのが 10 月でした。
ここから「最適な光量がわかるかも」と思い、「有害紫外線モニタリングネットワーク」というサイトで光量を見てみることにします。
残念ながら、昨年のデータは無かったので、2018年の「つくば」観測値のデータです。
私が住んでいるのは千葉県なので、実際はもう少しだけ光量が高いかもしれません。
これを見ると、日射量の最大値は12時の
約 0.7 kW m-2
BBYはこの時期の放射量が Billbergia にとって最適だと考察します。
また、10月と同程度のエネルギーを放出している時期は
2月21日~4月20日
9月1日~10月31日
です。(※11.12.1月はエネルギー量が低く、5月~8月は高すぎます。)
光量に限っていえば、この期間は外で管理してもよさそうです。
ただ、寒くなってきたときなど、外で管理できない時期もあるはず。
最適な LED の光量も考えてみようと思います。
LEDからの理想光量
現在我が家では2機のLED ライトで Billbergia に光を与えています。
それぞれのライトのスペックは以下の通り。
どちらも似たような波長分布のライトです。
【Vegefarm 植物育成 LEDライト VEFA46WFJ】
(10 cm 離れたところから照射したとき)中心 PPFD 910 μmol m-2s-1
(30 cm 離れたところから照射したとき)中心 PPFD 460 μmol m-2s-1
【EnFun 120W】
(30 cm 離れたところから照射したとき)中心 PPFD 1790 μmol m-2s-1
この写真を見ると、画面一番右の Billbergia 'Darth Vadar' の先端なんて
2000 μmol m-2s-1くらいいってそうです。
この時は、かなりきつそうだったものの、ほとんど葉焼けしませんでした。
(スポット部分など、光に弱い部分は葉焼けしていたと思います。うろ覚えで申し訳ない。)
条件が整えば
2000 μmol m-2s-1 でも葉焼けしない!
ということになりそうです。
振り返ってわかった、葉焼け対策
11月と1月の環境比較で見えた葉焼けの原因
2021年1月14日にパネルヒーターを導入して、葉焼けを起こしたことがありました。2020年11月には起こらなかったのに、なぜ?
偶然にも、当時の温湿度計の写真がスマホからでてきたので、環境を比較してみます。
はい。葉焼けした1月は明らかに湿度が低い。
「アリスタ通信」 〈コラム〉飽差管理とはの飽差表によれば、1月の飽差は植物が乾燥を感じて気孔を閉じてしまうほどの値です。
気孔が閉じてしまうと蒸散できず、蒸散による葉面温度の低下効果を得ることができません。(↓過去記事に気孔開閉についての諸々をまとめてあるので、よければこちらもどうぞ。↓)
少なくとも、この時の葉焼けは
湿度が低い
↓
気孔が閉じる
↓
蒸散できない
↓
葉面温度が上がり葉焼けした
と考えられます。
Billbergia は転換型 CAM 植物!?〜昼間も気孔を開けている?〜
さて、気孔の開閉といったら光合成型の話を避けては通れません。
一般的に、
- C3 型は昼間に気孔を開け、夜に閉じる。
- CAM型は昼間に気孔を閉じ、夜に開ける。
と言われています。
Billbergia は CAM 植物と言われていますので、光の当たっている日中には気孔を開きません。そうなると、先ほどまで考察していた内容と辻褄が合いません。このままだと、「昼間に気孔を閉じているのだから、湿度なんて関係ねぇ!」ってなっちゃいます。
ですが、私がよく参考にしている本によれば、
興味深いことに、いくつかの種はC3型とCAM型を転換できる。
(中略)
明確な転換型の植物として、パイナップル科の中で(グズモニア ブロメリアーゼ)と名付けられたものが知られている。水供給が良好な場合はC3型を選択する。出典:エペ・フゥーヴェリンク、タイス・キールケルス (2017) 『オランダ最新研究 環境制御のための植物生理』農山漁村文化協会 p.20
グズモニアと Billbergia は同じパイナップル科で、姿もなんとなく似ている。とすると、Billbergia も転換型CAM植物かもしれません。
こう考えれば、11月の高光量による葉面温度の上昇にも対応でき、辻褄が合います。
葉焼けしないための湿度
飽差が 10 hPa 以上で気孔を閉じると仮定すると、ざっくり
- 25~26℃のとき→60%以上
- 27~30℃のとき→70%以上
の湿度を確保しないと、気孔が閉じることに。
これより湿度が低い場合は、光量や温度を下げた方が良さそうです。
葉焼けしないための温度と光量 〜葉焼け指数という考え方〜
葉焼けは強光 × 高温 ストレスによるものだと考えています。*1
そこで、葉焼け指数なるものを考えてみたいと思います。※論理的にかなり穴があるので、あくまで目安を知るための指標とします。
葉焼け指数 = 最高気温〔℃〕× 光量〔W m-2〕
と定義します。この値が特定の基準を超えたら葉焼けする、というわけです。
※気孔が閉じない湿度であることが前提となります。
単位をPPFD 値で使われる〔μmol m-2s-1〕ではなく放射照度の単位〔W m-2〕としたのは太陽光に対応させるためです。*2
かなーり大雑把ですが、 PPFD 値を ÷ 5 すれば、おおよその放射照度が求められます。*3
ここで、葉焼けしてしまう「基準値」を考えてみます。
今回基準に用いるのは、2020年11月の環境。上記の通り、かなりハードな環境だったと思われるため、基準とするには最適だと思ったからです。
2020年11月の屋内管理時は
25〔℃〕× 400〔W m-2〕= 10000
ひとまず、この値を基準として考えていこうと思います。
例えば現在の私の Vage farm LED での環境は
25〔℃〕× 250〔W m-2〕= 6250
となります。このくらいなら問題なさそうですね。
一方、EnFun LED は
25〔℃〕× 300〔W m-2〕× 14〔h〕= 7500
少し怖い値ですな。
(※光量は推定値です。推定に用いた計算式等は省略しています。)
現在(5月末)の太陽光での葉焼け指数も求めてみます。
仮に、最高気温 25 ℃、放射照度 900W m-2、 とすると、
25〔℃〕× 900〔W m-2〕= 22500
とんでもない数値になってしまいました。
葉焼けの基準値を下回るためには、60 % 程度遮光する必要がありそうっすね。
まとめ
- Billbergia は転換型CAM植物かもしれない。
- 10 hPa 以上の飽差にならないように気をつける。気孔が閉じ、蒸散できず葉焼けの原因に。
- 2月下旬~4月下旬、9月~10月末の間は無遮光で屋外管理が可能。
- 葉焼け指数に応じた光量を選択する必要がある。温湿度の条件が整えば 2000 μmol m-2s-1 でも生育可能。
- 5 ~ 8月に屋外管理するには 60 % 程度の遮光が必要。
結局、理想の姿に近づけるための生育方法を考察するまで書ききれませんでした^^; 次回続きを書いていこうと思います。
参考
【書籍】
L.テイツ / E.ザイガー テイツザイガー植物生理学(2017)培風館
エペ・フゥーヴェリンク、タイス・キールケルス (2017) 『オランダ最新研究 環境制御のための植物生理』農山漁村文化協会
【Web】
光合成の森 - 光の単位