連日の雨が終わり、我が家では植物を外に出す機会が増えてきました。皆様の植物はいかがお過ごしでしょうか。うちの植物たちは長雨の影響か、徒長しているものも結構います。(正直何が徒長なのかいまいち分ってません。(⌒-⌒; ))特に Billbergia は日光に当てないと退色が進み、美しい姿を見せてくれません。何とか美しい色を保てないかといろいろ調べてみたので、この記事でまとめていきたいと思います。
- 美しい色はアントシアニンによるもの?
- アントシアニン合成を誘導するには 〜どの波長の光がいいのか〜
- アントシアニン合成を誘導するには 〜光の強さはどれくらいが良いの?〜
- アントシアニン合成を誘導するには 〜日光に含まれる紫外線の量を調べてみた〜
- アントシアニン合成を誘導するために 〜紫外線ライトを導入した!〜
- 実験内容
- まとめ
- 実験から1ヶ月後の様子( 8/25 追記)
- 参考
美しい色はアントシアニンによるもの?
Billbergiaの赤〜紫色や、Dyckia の黒色は、アントシアニンという色素によるものだと考えています。(アントシアニンは光馴化の記事でも登場しました。)
アントシアニンは紫色をしている植物色素です。例えば、ブルーベリーの実やリンゴの皮の色はアントシアニンによるものです。アントシアニンの役割は、紫外線や強光から身を守ることで、人間でいうところの「メラニン」と一緒です。人間が日焼けをすると、皮膚にメラニンが蓄積し、肌が黒くなります。同じように、植物が日焼けをするとアントシアニンが蓄積し、葉などが赤〜黒色になります。私は健康的に日焼けした女性がどストライクなんですが(そばかす女子とか最高です。最近でいうとサーフィンしてる深キョンさん、ローラさんも良いですね~)、植物も赤〜黒い方が好みなんです。(ビルベルギアの黒いボディに赤いスポット、かっちょいいいい。)では、何色の光をどれくらい当てれば、植物はアントシアニンを合成するのでしょうか。
アントシアニン合成を誘導するには 〜どの波長の光がいいのか〜
おそらく水を辛めにあげてもアントシアニンは誘導されると思います。でも水やりのタイミングがいまいちわかっていない初心者の私には恐ろしい手段です。なので、今回は光の種類や強度でどうにかできないか考えていこうと思います。
植物には光を感じるセンサーである「光受容体」というものがあります。そのうち、アントシアニンの合成を誘導するのは、青色光受容体である「クリプトクロム」と UV-B の光受容体である「UVR8」です。
紫外線は波長によってUV-A、UV-B、UV-C の3種類に分けられています。それぞれの波長は、
UV-A・・・400〜315 nm、
UV-B・・・315〜280nm、
UV-C・・・280 nm 未満
となっています。
ちなみに、クリプトクロムはUV-Aも吸収することがわかっています。
クリプトクロムとUVR8は部分的には同じ経路でアントシアニン合成を誘導するそうですが、独自の経路でも合成を誘導するとのこと。ということは、青色光、UV-A、UV-Bを特にたくさん浴びせてあげればアントシアニンがゴリゴリに合成されるんじゃないでしょうか。では、光の強度は一体どれくらいなんでしょ?
アントシアニン合成を誘導するには 〜光の強さはどれくらいが良いの?〜
我が家では植物生育ライトにAMATERASを使用しています。説明書にある通り40cm 離れたところから光を当てているので、400μmol m-2 s-1程度の光強度は確保できていると思います。が、植物はめちゃめちゃ青くしげっている、、、、。おそらく、400μmol m-2 s-1の光強度ではアントシアニンの合成は誘導されないのでしょう。植物生育ライトではやはり限界があるのかな、と感じました。単純に光を強くしてアントシアニンの合成を誘導するには、日光の力を借りた方が良さそうです。AMATERASの波長分布に関して、公式なものは公開されていないようですが、開発者のInstagramを見てみると、紫外線はあまり出ていないようです。もしかしたら、紫外線を足してやったら発色するのか?
アントシアニン合成を誘導するには 〜日光に含まれる紫外線の量を調べてみた〜
今の時代、SNSでいろんな先輩方が美しく育った植物の写真をUPしています。先輩方の写真を参考に見てみると、5月あたりから「美しい葉色を取りもどしゅ!」個体が多いようです。これはもちろん日光浴させたからでしょうが、今年の5月はそこまで晴れていたわけでもありませんでした。もしかしたら、紫外線の存在こそが重要なのでは?と思い、紫外線量を調べてみました。
最新の紫外線量は「紫外線インデックス」と言う指標で計算されていて、よくわかりませんでした。(泣) もう少し調べると、「有害紫外線ネットワーク」というサイトに放射照度での数値が載っていました。少し古いのですが、2018年 5 月の、9~16時の時間帯での紫外線量をみてみると、
UV-A、UV-Bともに
1.0 ~ 1.5 W/m2
程度で、朝から昼に向かうとともに線量は増え、昼から夕方に進むにつれ線量は減っていました。
とは言っても、育てている植物を一日中 日光に当てられることはできないと思います。植物が直射日光を浴びているのは、だいたい4時間くらいでしょうか。単純計算すると、4時間 × 1.5 W/m2 =6.0 (単位つけずに申し訳ない。)の線量を確保してやればいいのではと考えました。
アントシアニン合成を誘導するために 〜紫外線ライトを導入した!〜
太陽と同程度の紫外線を照射できるライトとかないかなーと探していると、現環境で導入できそうなのは「レプタイルUVB100」という爬虫類飼育用UVランプでした。40cm離したところからだと
UV-A・・・0.5 W/m2、
UV-B・・・0.08 W/m2
とかなり物足りませんが、しょうがないですねー。もっと本格的なライトもあると思いますが、とりあえずこれで実験してみようと思います。
実験内容
実験に使うのは、まだ小さいのに無理やり親株から外した、Billbergia 'Beadleman' の小株。アグラオネマのいるガラスケースで養生していましたが、見事に青い!
この子にUVライトとAMATERASの光を当てて観察することにしました。
条件は
- 照明の点灯時間は7~19時の12時間
- 水は鉢表面の用土が乾いてきたら、筒からあふれるようにしてあげる
- 室内温度は28〜30℃
- 湿度は75〜80%
- サーキュレーターの風を少し離したところから当てる
でいこうと思います。
紫外線量は
UV-A・・・0.5 W/m2 × 12時間= 6.0
UV-B・・・0.08 W/m2 × 12時間=0.96
またまた単位つけずに申し訳ない。UV-Bの線量が圧倒的に足りてないですけど、どうなるか?楽しみです!
まとめ
実験から1ヶ月後の様子( 8/25 追記)
1ヶ月後の様子をまとめました。↓ からどうぞ。
参考
本
テイツザイガー 植物生理学
Web
有害紫外線モニタリングネットワーク
植物生理学会 みんなの広場