過去に、「パキポをぷっくり太らせるには?」という記事を書きました。
この記事を書いてから1年が経ち、我が家でのデータも少しですが揃ってきたので、当時の考察を検証してみたいと思います。
仮説のおさらい
以前「パキポをぷっくり太らせるには?」という記事を 3 回に分けて書きました。
そこでの考察では、
- 「平均気温を20〜25℃ & 日照時間を12 時間程度で生育する」
- 「風を当てて、肥大生長を目指す。」
- 「強光度の光で生育する。」
でした。
詳しくはこちら。
これらを元に我が家の Pachypodium を生育し、成長を記録してきました。
考察が正しかったか、Pachypodium たちはぷっくり太ったか、検証してみようと思います。
成長の結果発表 〜Pachypodium 達はぷっくり太ったのか〜
生育量を調べたパキポたちは、
- Pachypodium inopinatum
- Pachypodium ’伊藤ハイブリッド'
- Pachypodium brevicaule (恵比寿笑い)
- Pachypodium 'densicaule' (恵比寿大黒)
の 4 体。
※ 我が家には Pachypodium rosulatum subsp. gracilius 、makayense もいますが、生育が止まっている期間が長かったので、今回は除外しています。
まずはこの4体がどのくらい肥大したのかを見ていこうと思います。
Pachypodium '伊藤ハイブリッド'
かなり順調に生育しました(^^) 9月末から落葉し始めました。そこまで寒くなかったと思うのですが、サーキュレーターの風が寒かったのかな?
Pachypodium brevicaule (恵比寿笑い)
こちらもかなり順調ー♪
伊藤ハイブリッド と同時期に、落葉しました。
Pachypodium inopinatum
あまり肥大せず。葉はたくさんついてるんですどね。
Pachypodium 'Densicaule' (恵比寿大黒)
こちらもほとんど変化なし(>_<) 葉が4枚から増えませんでした。
各 Pachypodium の成長グラフ
写真で示した赤線で幹の太さを測定し、幹の肥大率をグラフ化してみました。
このグラフからもわかる通り、'伊藤ハイブリッド' 、brevicaule (恵比寿笑い) は順調に肥大しています。
一方、inopinatum 、'densicaule’ (恵比寿大黒) はあまり肥大しませんでした。
細かい考察はひとまず置いといて、Pachypodium 達の生育環境を振り返ってみます。
生育環境
温度
まずは第1弾で考察した、温度の環境について。
20 ~ 25 ℃ のところを黄色く示してあります。
平均気温が 20 ~ 25 ℃ の月は、
3 ~ 5, 10 月の 4 ヶ月でした。
5 ~ 9 月は 25 ℃ を超えてしまいました。今年の夏も暑かったですね〜。
光強度&照射時間
続いて、第3弾で考察した、光強度について。
使用ライトは AMATERAS 20W です。
LED は床から 30 cm 離した所に設置しました。
推定 PPFD は 約 400 μmol m-2s-1
実際の様子はこんな感じ。
照射時間は 5 ~ 19 時 の 14 時間!
枝分かれを防ぎたくて多めの照射時間にしました。
その他の環境
植物棚には卓上ファンを設置し、首振り & 風量ランダムで 24 時間稼働させました。
強風を当て続けると、生育が悪くなってしまうと思ったので、このような稼働のさせ方になりました。
水やり回数は
でした。
では、これらのデータを元に仮説を検証していきたいと思います。
仮説の検証
今回の結果を元に、過去に立てた仮説を検証してみます。
仮説① 「平均気温を20〜25℃ & 日照時間を12 時間程度で生育すると太る?」
先ほども書きましたが、管理していた場所の温度は以下のようになっておりました。
最も成長すると考察した、平均気温が 20 ~ 25 ℃ のあたりを黄色で示してあります。
これを見ると、その温度帯になっている月は、
3, 4, 5, 10 月の4ヶ月間。
その月の肥大率を見てみます。
肥大率の少ない inopinatum、恵比寿大黒はさておき、測定の誤差を考慮すると、
「4 ~ 8 月は継続的に成長し続けていた。」と思われます。
今回の仮説に対する回答としては、
「平均気温が 20 ℃ 以上であれば、幹は太っていく。25 ℃ 以上であっても、成長が鈍ることはない。」
ということになりそうです。
仮説②「風を当てると太る?」
これについてはなんともいえません。。。
風を当てないで管理している個体との肥大率を比較できたらよかったんですが、対象を用意できるほど個体数がなくて、、、。
次回以降の課題ですね。
仮説③「強光度で生育させると太る?」
今回成長を観察した個体は、いずれも上方向への成長がとても少ないです。
このことから、仮説③ は正しいという可能性が強まりましたね。
完全に私の妄想ですが、
「上方向の成長が抑えられた分が、ヨコ方向の成長に充てられた。その結果、太って見えるようになった。」
のかなーと。
- 20 ℃ 以上で生育が活発になる。25 ℃ でも生育が鈍ることはなさそう。
- 400 μmol m-2s-1 以上の光強度で生育すると、タテ方向の成長が抑えられる。その分ヨコ方向の成長が促進され、結果太って見える。
あまり肥大しなかった inopinatum と 恵比寿大黒 についての考察
今回、 inopinatum と 恵比寿大黒 が肥大しなかったのは何故なんでしょうか?
順調に肥大した ’伊藤ハイブリッド’ と 恵比寿笑い との共通点・相違点 を洗い出してみると、こんな感じになりました。
【共通点】
- 光の種類・光量
- 日照時間
- 温度・湿度
- 水やり頻度
【相違点】
- 鉢のサイズ
- 用土の種類
相違点の中に、成長しなかった原因があるはずです。
簡単に考察してみます。
鉢サイズが小さかった
inopinatum と 恵比寿大黒は、鉢サイズが小さかったです。
順調に生育した 伊藤ハイブリッド と、恵比寿笑い は 3 号のミニ蘭鉢。
inopinatum は 2.5 号のミニ蘭鉢。
恵比寿大黒は 100均で買った素焼き鉢でした。
恵比寿大黒については、植物体サイズも小さかったため、なんとも言えませんが、inopinatum は、鉢が小さかったために成長が抑えられてしまった可能性があります。
用土の保水性が低かった
あまり肥大しなかった 2 体は、保水性の低い用土に植わっています。
順調に生育した 2 体は、水をあげて 5 ~ 10 秒後に底から水が出るのに対し、
肥大しなかった 2 体は水をあげたらすぐに底から水がでます。
今回は4体すべて同じタイミングで水やりをしていましたが、保水性の低い用土のものに関しては、
「水やり頻度をもっと多くする」
もしくは
「保水性の高い用土に変える」
方がいいかもしれないですね。
逆に考えると、温度 & 光量が十分にあれば、水やり頻度を増やしてもヨコにしっかり成長してくれるのかもしれません。
まとめ
- 20 ℃ 以上の温度で管理すると、Pachypodium は成長する、可能性がある。
- 400 μmol m-2s-1 以上の光量で生育すると、タテ方向の成長を抑えられる、っぽい。
- Pachypodium は水やり頻度を増やしても、温度 & 光量が十分にあればちゃんと太ってくれるかもしれない。
植物体内の活動はとても複雑で、データの少ない現状では、断言できないのが辛いところです。今回のまとめを生かして、より良い植物 LIFE を楽しもうと思います!