BBYの観葉植物 Discussion Note

観葉植物の生育環境や、育てかたについて考えたことを載せるブログです。

Pachypodium ‘ 伊藤ハイブリッド ’ 生育記録 Vol. 1

Pachypodium ‘伊藤ハイブリッド’ の生育記録です。

 

Pachypodium ‘ 伊藤ハイブリッド ’ について

Pachypodium horombense (パキポディウム ホロンベンセ)と
Pachypodium densiflorum(パキポディウム デンシフローラム)、
Pachypodium rosulatum (パキポディウム ロスラーツム)
を掛け合わせた品種だそうです。

「三元交配」と書いてありますね。A種〜C種の3種を例に説明します。

まず、A種とB種を掛け合わせて、A×B種を作ります。その後に、A×B種とC種をかけあわせる。結果的に3種を交配させることだそうです。

さて、伊藤ハイブリッドはどの順番で三元交配を行ったのかは分かりませんが、3種のパキポディウムの血が入っているわけです。

交配に使われている3種の遺伝的な近縁度合いはこのような感じ。

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出典:Toxicity of the spiny thick- foot Pachypodium(Anurag A. Agrawal et al.,2018)

これらを見る限り、horombense と densiflorum はかなり遺伝的に近い種のようです。少し離れたところに rosulatum がいる感じですな。この程度の遺伝的な距離なら、交配可能なんですね!

我が家の伊藤ハイブリッドはなんとなく densiflorum の血が強い感じがします。トゲや幹のようすが densiflorum っぽい。horombense と rosulatum は持っていないので比較はできないですけどね。^^;

特徴

葉の形は基部がくさび形で、先端に向かうにつれ幅が広くなっています。クチクラ層が発達しているのか、表面は光沢があります。

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葉の裏はこんな感じで、
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まさにキョウチクトウ科といった感じで、葉脈が複雑な模様を作り出しています。表面に比べ、トリコームが発達しているように見えます。

幹はぼってり膨らむというよりかは、まっすぐ大きくなる感じ。P. densiflorumに似てますかね。

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トゲは太いです。これもP. densiflorumっぽい。

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三元交配なので個体差はあると思いますが、我が家の伊藤さんはこんな感じです。

Pachypodium 属の生育方針

BBYが考えるパキポディウム系の生育方針は

です。上の2つは幹を太くするための方針。 下の2つは基部の枝分かれを防ぐための方針です。

お迎え時〜2021年2月末までの生育記録

2020年 7月ごろ、地元のホームセンターで購入しました。
この頃はかなりの初心者だったので、パキポディウムが田舎のホームセンターに売っていること自体、かなりの驚きでした。笑
かなりお買い得で、パキポディウムに交配品種があることも知らなかったので、見つけた瞬間、レジに持って行きました。

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かなりひょろ長いですね。
(見づらい写真で申し訳ない)

お迎えした2020年8月から2021年2月までは、細かい記録を取っていないので、ダイジェストでお送りします。

お迎え時〜2月末までの生育記録

2020年7月は長引いた梅雨の影響で屋外で生育させることがほとんどできませんでした。AMATERAS LED を使い、屋内管理していました。

8月になり、梅雨が明けてから9月までは屋外でガンガン日光を浴びさせました。
真夏の直射日光には耐えられない植物もいる中、伊藤ハイブリッドは元気モリモリ!
10月から、「朝外に出して夜に屋内にとりこみ、室内で2時間程度補光する。」というのをやってました。落葉が怖かったというのが理由ですが、その努力も虚しく、我が家のパキポディウム属の一部は完全に落葉し、休眠期に入ってしまいました。

 

伊藤ハイブリッドも数枚落葉しましたが、屋内管理時のLEDの放熱などにより、再び葉を出し始めました。

 

11月の中旬あたりから完全に屋内管理に移行。LEDでもモリモリ成長しました。

結局、その頃からずっと室内管理です。笑

21年3月~22年6月末までの生育記録

2021年3月から、定点撮影をして1月ごとの様子を撮影しました。気温、湿度も記録を取り、成長度合いと環境の相関があるかを調べられるようにしました。

管理カレンダー

21年3 ~ 9月の間、室内で LED を当てて生育しました。

※各管理の詳細はこちら※

 

 

屋内管理(室内の植物棚)

我が家の植物棚の風景。伊藤ハイブリッドは中央から少し左側におります。

〜〜〜屋内管理(植物棚)の詳細〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、ほぼ中心
【PPFD 値(推定)】 400 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】幹が少し凹んできたら、鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

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3月末
3月の詳細

環境の計測を始めたのが、3/10 からなので、それ以前のデータはないです。すいません。パネルヒーターを使って温度を高めていますが、湿度は低いままです。

3月の環境。日付が水色の日に水やり。

大きな葉を沢山つけていて、順調です。

4月末
4月末の環境詳細

室内の環境も、気温と湿度が上がってきました。

4月の環境。日付が水色の日に水やり。

〜〜〜その他の環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、ほぼ中心
【PPFD 値(推定)】 400 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】幹が少し凹んできたら、鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

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3月末と変わらず、とっても元気!この月からみきの太さがよくわかるアングルに変えました。

5月末
5月末の環境詳細

気温差が小さくなりました。もう少し湿度が高ければ理想的な環境です。

5月の環境。日付が水色の日に水やり。

〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、ほぼ中心
【PPFD 値(推定)】 400 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】幹が少し凹んできたら、鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

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この月も順調に育っています。幹も太くなっているのがわかります。

6月末
6月末の環境詳細

室内の気温が順調に高くなっています。

6月の環境。日付が水色の日に水やり。

〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、ほぼ中心
【PPFD 値(推定)】 400 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】幹が少し凹んできたら、鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

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この月も順調。葉の量が半端ないですね。



7月末
7月の環境詳細

この月も室内管理。梅雨だったということもあり、室内も湿度が高いですね。

7月の環境。日付が水色の日に水やり。

〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、ほぼ中心
【PPFD 値(推定)】 400 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】幹が少し凹んできたら、鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

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この月も至って順調。3つに分かれた成長点がしっかりしてきました。

8月末
8月の環境詳細

7月と同様に気温・湿度が高かったです。

8月の環境。日付が水色の日に水やり。

〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、中心から約 10 cm
【PPFD 値(推定)】 100 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】幹が少し凹んできたら、鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

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葉が何枚か枯れました。休眠スイッチが入ったか。

9月末
9月の環境詳細

この月も室内で管理。相変わらずの高気温&湿度。9月といえどまだまだ暑かったです。

9月の環境。日付が水色の日に水やり。

〜〜〜その他の屋内環境情報〜〜〜

【使用LEDライト】 AMATERAS LED 20W
【ライトとの距離】 鉢下から 40 cm、ほぼ真下
【PPFD 値(推定)】 400 μmol m-2s-1
【光照射時間】14時間 / 日
【水やり方法】幹が少し凹んできたら、鉢底から水が出るまで灌水
【その他】卓上扇風機で送風

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落葉がさらに増えました。これは確実に休眠スイッチが入ってますね。

成長まとめ

各月の写真をまとめるとこんな感じです。

2021年3−9月の成長の軌跡

3月から8月までグングン成長しています。やったぜ!!

8月から休眠スイッチが入ったのか、葉が枯れ始めていますね。そのせいか、9月末はあまり成長していません。

幹の肥大率をグラフにするとこんな感じ。

伊藤ハイブリッド 2021年3 - 9月までの幹肥大率

3月〜8月の見事な成長っぷりがグラフからも伺えます。休眠スイッチが入ったと思われる8月以降は見事に成長していません。

振り返り

しっかりと成長してくれた

あまり上に伸びず、しっかりと太ってくれたので私の生育方針はそこまで間違っていない買ったのかなと思います。AMATERAS LED とパキポディウムは相性が良さそうです。

なぜ8月末から休眠のスイッチが入った?

8月末から休眠のスイッチが入ったのはなぜでしょう。

パッと思いつくのは送風の影響です。

我が家の植物棚は湿度が低くなりがちです。湿度が低いことは植物にとってあまりいいことではありません。マダガスカルにも乾季がありますし、低湿度が休眠スイッチの一端を担っている可能性は十分にあります。

bambooborny.hatenablog.com

送風することで湿度は下がるし、植物体も冷やされます。このような環境だと、8月末でも休眠してしまうのかもしれません。

参考

Toxicity of the spiny thick- foot Pachypodium(Anurag A. Agrawal et al.,2018)